法人ごとに、次の利用が生まれる時期を捉える
「昨年利用した会社」という一覧だけでは、連絡の理由が定まりません。会社名の下に、利用した部署・目的、次回の見通し、予定を確認する相手を持たせます。同じ会社でも、研修を扱う人事と、工事の宿泊先を手配する現場事務では、必要な部屋も予算も別の場合があります。
研修の相談なら、人数だけでなく、会場と開催日がいつ決まるかを聞きます。工事応援なら、次の勤務地と派遣期間を先に尋ねます。前回の利用が終わった時点で次回の見通しを聞ければ、営業台帳の次回連絡日に、その理由も残せます。
予定が未定なら「見込みなし」とは限りません。ただし、まだ決まっていない需要を予約見込みの室数へ足すこともできません。確認できた事実と、営業担当の期待を分けておきます。
アットインの営業担当・野村貴大氏への取材では、翌年の研修人数を前もって尋ねることや、今回の相談が流れても次の相談を受ける関係づくりが語られています。特定拠点の経験であり、同じ月に連絡すればよいという全国共通の営業日程ではありません。
連絡時期を決める材料は、前年の入居月だけでなく、法人側が研修会場や人数を決める時期です。自社の前回利用と今回の相談を、次の三つに分けて確かめます。
| 記録 | 自社の記録で確かめること | 次の判断 |
|---|---|---|
| 前回の利用 | 利用した部署・目的・時期・室数 | 前回の実績として参照する |
| 今回の予定 | 本人に確認した内容、未定の条件、決まる見通し | 相手が希望する時期に、今回の条件を聞く |
| 部屋の確保 | 今回の依頼、対象室・期間、確保結果と期限 | 未依頼・未確認を予約済みに数えない |
予定を早めに聞くことと、早い時点で部屋を確保できることは別です。自社で受けられる予約時期や仮予約の条件を確かめ、相手の検討予定と合わない場合も、その制約を伝えます。
前回の勤務地だけで提案先を固定しないことも大切です。ミスタービジネスの運営会社案内では、全国を移動する出張者の利用を捉えるため、加盟店間の相互送客を行う仕組みが紹介されています。自社で対応できない地域の相談を受けたときも、紹介できる先の有無と、その後の窓口を確認する余地があります。提携先への情報提供は、本人に説明した範囲と自社の取扱いに合わせます。
新しい法人との接点をどこで作るかは、広告・紹介・自社サイトの比較で整理できます。本稿では、既に接点のある法人から次の利用相談を受ける準備を扱います。
前回の条件を引き継ぎ、今回の変更を確かめる
繰り返し利用する相手に、毎回同じ会社情報を最初から説明してもらう必要はありません。一方、前回の部屋、料金、契約窓口をそのまま確定条件として扱うと、勤務地変更や担当交代を見落とします。
MetroResidencesの法人向け案内では、2回目以降の申込み事項を簡略化する仕組みが示されています。また、MONTHLY BANKは、複数物件を利用する法人の契約・支払処理の負担を挙げ、窓口をまとめた手配を案内しています。法人向けの営業では、部屋の魅力に加え、担当者が繰り返す手続きの負担も確認する材料になります。
再依頼を受けたら、前回の記録を次のように使い分けます。
| 前回の記録 | 今回の使い方 | 再確認すること |
|---|---|---|
| 法人名・担当部署・窓口 | 既存の取引先を探す手がかりにする | 担当交代、連絡先、依頼できる人が変わっていないか |
| 希望する通勤条件・設備 | 新しい希望を聞くときの出発点にする | 今回の勤務地、人数、利用者の条件 |
| 利用期間・部屋 | 前回利用の履歴として参照する | 今回の開始・終了日、必要室数、空室 |
| 見積もり・請求の宛先 | 相手が社内処理しやすい形を確認する | 宛名、請求単位、支払条件の変更と承認 |
「前と同じでお願いします」と届いた場合も、前回のどの利用を指すか確認します。会社名だけで一件を選ばず、利用した部署や時期から照合してください。前回の見積書を参考として取り出すことと、同じ価格で提供する約束は別です。
前回の利用を照合できたら、変更点を答えやすい文面で確認します。角括弧は、確認した前回の内容へ置き換える欄です。
前回は[利用部署]の皆様に、[利用地域]でご利用いただきました。今回は勤務地・人数・ご利用期間に変更はありますか。見積もりの送付先は、前回の[確認した送付先]から変更はありますか。部屋と料金は今回の条件で確認してご案内します。
前回の利用で、請求書の部署分け、入居者への鍵案内、延長時の確認などに手間がかかったかも尋ねます。「何度も同じ書類を出した」という声なら、既存の会社情報を使える部分と、今回も確認が必要な部分を契約担当と分けます。再提出を減らせる項目が決まってから、次の依頼方法を相手へ案内してください。
必要な項目を一度に聞けない場合は、未定の内容と確認予定を残します。実際に入居する人が後で決まる法人では、契約の窓口と入居者への案内先を同じ欄へまとめないようにします。入居前案内の届け方も併せて使えます。
予定の確認から、具体的な提案へ進める
次の利用時期が分かっていても、いきなり部屋の一覧を送ればよいとは限りません。人数が未定なのか、会場が未定なのかによって、相手が今判断できる内容が変わります。
会場や人数が決まっていない段階では、予定の確認時期と連絡方法を合わせ、提案に必要な条件を知らせます。条件が届いたら、その時点の空室と料金を確認して提案します。
勤務地と開始日が決まっている場合は、希望条件の確認から候補の提案へ進められます。「過去の利用者」という区分だけで同じメールを送るのではなく、相手の準備状況に合わせて次の動きを変えます。
見積もりを送った後は、相手が社内で比較・承認できる資料が届いたかを見ます。総務から「利用部署別に請求を分けられるか」と聞かれて自社の回答が止まっているなら、その案件は法人からの返事待ちではありません。営業が経理へ分け方と追加条件を確かめ、総務へ返答する仕事が残っています。
請求の依頼は、請求先・書類の単位・入金を照合する項目に沿って整理し、希望する分け方と自社で扱える条件を経理へ確認します。
次の営業予定には、相手の回答日だけでなく、自社が先に返す内容と担当も載せます。連絡不要の意思を受けた場合は、その後の営業予定から外します。
予定や担当を残す場所は、既存の顧客管理や営業台帳を使えます。別のリピート一覧を作って同じ窓口情報を二重更新するより、前回契約と今回の相談が同じ会社から辿れることを優先します。
法人の社内承認が止まっているときは、決裁者の返答待ちか、自社から渡す情報が足りないかを確かめます。必要な見積の内訳、送付先、希望する回答日を揃え、予約を確保している場合は仮予約の期限と対応させます。「見積送付済み」の一言で、承認資料の差戻しまで完了扱いにしないようにします。
見送りになった相談は、理由と次回の意向を分ける
今回の勤務地に対応できず見送りになった場合も、同じ会社から別の勤務地の相談が来る可能性はあります。ただし、今回決まらなかったことだけを理由に、繰り返し営業連絡をする予定へ入れません。
見送り理由は今回の記録へ、次回の相談を希望する意向は次の連絡予定へ分けて残します。本人が次に相談したい時期を述べた場合は、その内容と連絡の相手・方法を確かめます。返答がないだけの案件を見送りと決めたり、相手が述べていない価格への不満を理由として残したりしないようにしてください。
再利用の機会と、依頼するときの手間を見る
評価するときは、再利用件数だけでなく、対象期間に利用機会があった法人を確かめます。前回利用した法人、今回の需要を確認できた法人、そのうち再利用した法人を、同じ対象期間・同じ会社の単位で集計します。
前回の利用先全体に対する再利用の割合と、今回の需要を確認できた法人に対する割合は、分母が違います。どちらを見た数字かを併記し、未確認の法人を需要なしとみなさないようにします。法人単位で継続を見た数字と、一社が複数回申し込んだ予約件数も分けてください。
営業の見直しには、次のような問いが役立ちます。
- 次の利用予定を確認できた法人に、条件が決まる時期に連絡できたか。
- 再依頼の際に、前回と同じ会社情報を何度も聞き直していないか。
- 地域・期間・室数が合わず提案できなかったのか、提案に必要な回答が遅れたのか。
- 見積もり後に、法人側の社内手続きで不足した情報は何だったか。
再利用が増えても、割引、利用部署の拡大、研修の再開などが同時に起きていれば、連絡方法だけの効果とは決められません。人数や契約日数、提案できた条件も一緒に見ます。再依頼時の手間を減らすことと、需要そのものを増やすことを分ければ、次に改善する仕事を選びやすくなります。
希望条件をそろえる段階では、マンスリーの問い合わせ受付を利用できます。テマトクへは、再利用の問い合わせを受け、前回の利用を照合するための情報や今回の希望を聞いて、営業担当へ渡す範囲を相談できます。空室・料金・提案内容を決める担当を確認したうえで、受付と連絡の分担を整理してください。
受付から手配・報告まで、任せる仕事を選ぶ
問い合わせの受付・内容整理、物件別FAQ回答から、業者連絡・手配・報告まで。いまの体制に合わせて任せる仕事を選びます。
費用・方針・例外の判断を管理・運営会社に残し、作業と確認の分担を一緒に整理します。