共益費に含める費用を揃える
「共益費」の中身は、運営会社や物件ごとに異なります。水道・電気・ガスだけか、インターネット、共用部清掃、消耗品まで含めるかを、自社の募集条件と契約から確認します。
クロスハウスの公式FAQでは、定額共益費に水道・電気・ガス代を含めています。オークハウスの公式FAQは定額を基本としつつ、物件によって使用量に上限があり、メーターを確認して請求すると説明しています。同じ「共益費」という名称でも、金額を比べる前に、含む費用と追加請求の条件を揃えます。
最初に、費用を次のように分けます。
| 費用 | 揃えること |
|---|---|
| 光熱水費 | 水道・電気・ガスを共用部と個室のどこまで含むか。対象のメーターと請求期間 |
| 清掃・通信 | 月額契約の範囲。追加清掃や機器代を含むか |
| 消耗品 | 運営側が補充する品と、入居者が用意する品 |
| 修理など | 修理・臨時支出は日常の費用と分けて記録し、共益費の対象か確認 |
同じ名前の費用でも、建物全体の請求に別用途の区画が混ざっていたり、清掃料金に臨時作業が含まれていたりします。請求書の合計をそのまま共益費の実費へ入れる前に、どの物件・範囲・期間に対応するかを確かめます。
共益費に含めない費用を把握することも必要です。家主への支払い、社内人件費、大規模な修繕などを除いた比較であれば、その差額を物件全体の利益と呼ばないようにします。
収入と実費を同じ期間で比べる
入金された月と、料金の対象月は必ずしも一致しません。前払い分や過去の未払い分が入った月の入金額を、その月の電気代と比べると、共益費が足りているかを誤って判断します。対象月の契約条件から集計した共益費額と、その期間に対応する費用を並べます。
自社の資料から、対象月と費用範囲を揃えて集計します。比較の途中で対象を変えないよう、元の請求や契約を参照できる状態にします。
| 集計するもの | 使う記録 | 確かめること |
|---|---|---|
| 当月の共益費対象額 | 対象契約と適用する共益費の条件 | 前払いや過去分の入金を混ぜず、対象月に対応する額を集める |
| 当月に対応する費用 | メーター別請求、清掃・通信の契約、購入履歴 | 同じ物件・範囲・期間へ対応させる |
| 対象額と費用の差 | 上記二つの集計 | 収入・費用それぞれの変化を確認する。差額を物件全体の利益としない |
二つの月の差額だけで結論を出さず、入居人数、使用量、単価、臨時支出の変化を確認します。契約数が増えても、使用量などに伴って費用が変わる可能性があるため、費用をすべて固定した予測にはしません。
月途中の入退去、複数人利用、個別に異なる条件がある場合は、単純に人数へ一律の月額を掛けません。各契約の対象額を集計します。水道代が2か月分など、請求期間が違うものは比較期間を合わせ、分け方を記録します。
元の資料は、対象月の契約一覧と共益費の設定、各メーターの請求書、清掃・通信の契約と請求、消耗品の購入履歴です。水道など複数月の使用分がまとめて請求される場合も、支払日だけを見て全額を一つの月の費用にしません。使用期間に対応させた集計方法を経理担当と揃え、後から同じ請求書へ戻れるようにします。
共益費の月次点検表(CSV)は、数式付きの空欄票です。「対象額_円」へ当月の契約条件から集計した共益費額を、電気からその他までの7費目へ同じ期間の費用を入力します。費用合計は7費目すべてが数値のとき、差額は対象額と費用合計の両方が数値のときに表示します。空欄は未確認、費用が発生しない項目は0と区別します。
Excelのテキスト取込みでは、文字コードをUTF-8、区切り文字をコンマ、列の形式を標準にします。空の入力列も必要なので、連続する区切り文字を一つとして扱う設定は使いません。列幅や文章の折り返しは、入力する内容に合わせて調整してください。月ごとに行を追加するときは、合計・差額の数式も対象行へコピーします。
数式として読み込める表計算ソフトで使い、集計前に合計・差額のセルへ数式が入っているか確認してください。入金済みかどうかの確認は請求・入金管理で行い、採算の比較と混ぜません。
値上げの前に不足の理由を分ける
差額が悪化したら、料金条件を変える前に費用の変化をたどります。電気料金の合計が増えていても、使用量が増えたのか、単価が変わったのかで対応は違います。空室が増えた月は、清掃や通信などの固定的な支出がどれだけ残るかも見ます。
電気なら、請求金額と一緒に使用量のkWh、対象日数、入居人数を前月や前年の同時期と比べます。使用量がほぼ同じで金額が上がったなら、単価や料金の内訳を調べます。人数が減ったのに使用量が増えたなら、共用設備の運転時間や不具合の有無を現地担当へ尋ねる材料になります。差額の原因を入居者の使いすぎと決めず、まず請求と現場を対応させます。
| 見つかった変化 | 次に確かめること | 検討する対応 |
|---|---|---|
| 入居が減り収入が減った | 空室期間と、人数に関係なく残る費用 | 空室対策、契約内容や支出の点検 |
| 使用量が急に増えた | 入居人数、季節、漏水・機器不良、使われ方 | 現地確認、修理、設備や運用の改善 |
| 単価や委託料が上がった | 請求単価、契約変更、サービスの追加 | 契約や調達先、必要なサービス範囲の見直し |
| 臨時支出が重なった | 毎月続くものか、一度きりか | 日常費用と分け、継続負担を見積もる |
設備の不具合が疑われる場合は、料金の検討と並行して設備対応へ回します。水道の使用量が急増しているのに、入居者への節約案内だけで終えると、原因が残るかもしれません。
神戸なでしこマネジメントの2024年の通知には、光熱水費の増加を従来の共益費で賄えなくなったと記されています。共益費の改定を検討する際は、どの費用が増え、他の改善で対応できるかを自社の数字で確認します。
日々の生活に必要な清掃や設備を一律に削ると、住み心地へ影響します。費用だけでなく、清掃状態、設備の使い勝手、入居者からの声も併せて見て、維持したいサービスを決めます。
新しい条件の対象と案内を揃える
見直しの結果、共益費や含めるサービスを変えるなら、金額、内訳、対象契約、適用時点を一緒に決めます。既存契約へどう適用するかは契約担当が確認し、新規募集と同じ更新だけで済ませないようにします。
TESENの2023年の改定通知では、新条件を適用する申込受領日時を明示しています。参考になるのは金額だけでなく、「どの申込みから変わるのか」が読者に分かる点です。
社内で条件が決まったら、募集ページ、見積書、契約、請求設定、入居前案内を照合します。新規申込みから変える場合は、受付担当が申込受領日時と対象物件から適用条件をたどれるようにします。既存の入居者へ同じ金額を請求する前に、その契約に適用する内容と時点を契約担当から経理へ渡してください。
窓口には「今回変わる費用」「対象となる契約」「最初の請求月」を一緒に伝えます。金額だけ更新すると、以前の案内を見た入居者へ違う条件を答えるおそれがあります。個別の適用が決まっていない相談は、契約担当へ照会してから回答します。
変更後も、最初の請求だけで点検を終えません。同じ費用範囲で差額を追い、設備改善の効果や、想定していなかった負担を確かめます。テマトクに条件の案内や問い合わせ対応を任せる場合も、確定した内容と確認先を揃えて相談できます。料金を決める仕事と、決まった条件を正しく届ける仕事をつなぎます。
受付から手配・報告まで、任せる仕事を選ぶ
問い合わせの受付・内容整理、物件別FAQ回答から、業者連絡・手配・報告まで。いまの体制に合わせて任せる仕事を選びます。
費用・方針・例外の判断を管理・運営会社に残し、作業と確認の分担を一緒に整理します。
