受付・調査・判断のどこまでを任せるか
「クレーム対応」という名称だけでは、任せられる仕事が分かりません。話を聞いて報告するサービスもあれば、関係者へ確認し、決められた範囲で案内や手配を進めるサービスもあります。
プロコール24の公式FAQでは、発生場所が分からない騒音について近隣へ確認し、結果を報告する対応を紹介しています。ただし、騒音の詳細対応は一棟管理の物件に限るとしています。対応項目だけでなく、対象物件や調査先の条件も合わせて比べる必要があります。
委託範囲を決める際は、自社で受けた修理の進捗照会を試験用に整え、元の依頼・相手の返答・本人への約束を揃えます。次の仕事を誰が行うか、同じ記録で確認してください。
| 仕事 | 委託先と確かめること |
|---|---|
| 経過確認 | 過去の受付、業者への依頼、入居者へ伝えた予定を参照できるか |
| 状況確認 | 業者の受入状況や連絡予定を、誰が直接確かめるか |
| 入居者案内 | 確認できた進捗を誰が返すか。日程が未確定の場合は何を伝えるか |
| 方針判断 | 業者変更、費用負担、補償などを、社内の誰が判断するか |
| 次の確認 | 返事がない場合、誰が再確認し、どの条件で責任者へ戻すか |
同じ電話で「修理を進めてほしい」と「費用を補償してほしい」が出た場合、確認事項を二つに分けます。業者への状況確認は進めつつ、補償の要求と根拠は判断担当へ渡せます。補償の回答待ちを理由に、修理の進捗確認まで止める分担にはしません。
修理の状況だけ先に分かったら、その結果と、費用は確認中であることを入居者へ返します。費用の回答は決まり次第、同じ案件へ追記して伝えます。
設備や騒音などの聞き取り項目は、電話マニュアルと騒音苦情の受付手順で整理できます。委託の打合せでは、その項目を聞いた後の仕事までを対象にします。
解決に必要な判断と、応対者の保護を分ける
責任者へ引き継ぐ理由には、会社の判断が要ることと、そのまま一人で応対を続けさせられないことがあります。両方が重なる場合もありますが、混ぜて扱うと、入居者の困りごとの解決と担当者の保護のどちらかが抜けます。
判断が必要な案件は、内容を見て引き取る
費用・契約上の例外を求められた、以前の説明と現在の案内が食い違う、同じ案内をしても状況が進まない。こうした場合は、窓口の言い方を直すだけでは答えが出ません。責任者が確認する資料と、引き取る担当を決めます。
「三回電話が来たら」と回数だけで決めると、最初から判断が必要な案件を待たせる一方、業者の到着確認など必要な連絡まで問題視してしまいます。前回の約束が守られているか、何が未解決かを先に見ます。
全国賃貸住宅新聞の管理会社取材でも、外部窓口で解決できない案件の内容を見て、対応部署へ引き継ぐ運用が紹介されています。委託先に「困ったら連絡してください」と伝えるだけでなく、社内の引取先を用意することが必要です。
苦情の内容が正当でも、担当者を守る対応は必要になる
「修理が進まず困っている」という申出と、担当者への脅迫や人格を否定する言動は別に記録します。怒っていることや、返答を急いでいることだけで、相手を問題客と決めつけません。厚生労働省の説明も、苦情の全てがカスタマーハラスメントに当たるわけではなく、言動の内容と手段・態様などを総合的に考えるとしています。
同省は、2026年10月1日からカスタマーハラスメント防止のための雇用管理上必要な措置が事業主の義務になったと案内しています。窓口を委託する際も、自社と委託先それぞれで、応対者が相談する責任者と、引き取る方法を揃えます。
応対者が強い負担を感じたときは、会社の方針に沿って責任者へ相談できるようにします。管理者への交代、複数名での対応、連絡方法の変更など、採る対応と決定者を事前に揃えます。暴力や差し迫った脅威がある場合の安全確保・緊急連絡は、通常の苦情処理とは別の手順で扱います。
保護のために担当を替えても、修理や説明の不足が解消されたわけではありません。応対者への支援と並行して、元の問題を進める担当を残してください。
中断後の連絡方法を決める
厚生労働省の現行指針は、カスタマーハラスメント対策に当たっても、消費者の権利や障害に伴う合理的配慮に留意し、個別の事情に応じて対応するよう示しています。通話が長い、説明を繰り返すという点だけで打ち切りを決めず、伝えにくい事情や説明の不足も確かめます。
応対者を交代させたり通話を中断したりした後は、責任者が次の連絡方法を決めます。メールやフォームへ変えるなら、本人がその手段を使えるか、誰が内容を受け取り、いつ返答するかまで確認します。本人が使えない場合は、別の連絡方法を責任者と調整してください。漏水などの危険の申告と緊急対応は、通常の返信待ちとは分けて引き継ぎます。
委託先の保護対応と、管理会社への報告を取り決める
日本賃貸住宅管理協会の公開案内には、会員向けの基本方針ひな形や、カスタマーハラスメント等の防止を意図した契約書の改訂が示されています。委託時には、自社の方針を伝えるだけでなく、委託先が応対者を守るために定めている対応とも照らし合わせます。
たとえば、コールセンター業務を受託する東西の公開マニュアル(本文13ページ)は、委託元の方針を事前に確認し、責任者を通じて報告・相談する方法を示しています。一方、明らかなカスタマーハラスメントには、同社の対応手順で対処してから委託元へ報告する扱いもあります。これは同社の方針であり、すべての委託契約に共通する条件ではありません。
委託先との打合せでは、次の三点を確かめてください。
- 応対者が相談する責任者と、管理会社が報告を受ける窓口は誰か。
- 管理会社と連絡が取れない場合も、応対者の安全確保を待たせない手順になっているか。
- 応対を中断・交代した後、元の修理や問い合わせを誰が持ち、次の連絡方法を誰が決めるか。
連絡の記録には、実際にあった言動と採った対応、未解決の用件を分けて残します。「対応終了」の一言で、応対者の保護と入居者の困りごとの両方を完了扱いにしないためです。
引継ぎは、責任者の受領と次の返答まで確認する
引継ぎの報告には、「入居者が怒っている」よりも、何が起き、何を案内し、何が止まっているかを書きます。責任者が同じ説明を最初から聞かずに動ける内容が必要です。
自社の再連絡の記録を、次の項目で整理します。確認済みの事実、本人の申告、依頼中・回答待ちを区別し、元の受付や業者への依頼を参照できるようにします。
| 項目 | 責任者へ揃えて渡すこと |
|---|---|
| 対象 | 物件・部屋・用件と、継続する元の受付記録 |
| 経過 | 前の依頼、相手の受入・返答、本人へ実際に伝えた予定 |
| 今回 | 新たな申告、前回から変わった点、本人が求める対応と根拠 |
| 実施 | 委託先が今回行った連絡、確認できた結果、まだ答えていない事項 |
| 引取 | 責任者の受領、確認窓口を替える範囲、次に本人へ返す担当と時点 |
業者の依頼受入を確認できていなければ、訪問日が決まる前提で返答しません。確認窓口を切り替えたことを業者へ伝え、先の照会への返事が委託先へ届いたら、責任者へ渡します。報告の受領後も、次の確認と返答の担当を記録へ戻す必要があります。
引継ぎを受けた担当は、自分が案件を持ったこと、確認する相手、入居者へ次に連絡する予定を受付側へ返します。決めた連絡時点までに日程が確定しなくても、何を確認中かを伝えられるようにします。不在で受け取れない場合は、代理の担当へ進む条件を用意します。
委託先を選ぶ際は、自社の同じ記録を使って「誰が業者へ確認するか」「社内が受領しない場合どうするか」「入居者への返答後、履歴をどこへ残すか」を質問してください。受付の説明が丁寧かだけでなく、その後の仕事がつながるかを確かめられます。対応範囲全体は、入居者対応を外注する際の分担と合わせて比べます。
テマトクは、問い合わせの受付・案件整理から、決めた方針に沿う関係先への連絡、業者手配・日程調整、報告まで担います。苦情のうち窓口で進める仕事と、自社で判断する仕事を一件で整理し、任せたい対応範囲をご相談ください。
受付から手配・報告まで、任せる仕事を選ぶ
問い合わせの受付・内容整理、物件別FAQ回答から、業者連絡・手配・報告まで。いまの体制に合わせて任せる仕事を選びます。
費用・方針・例外の判断を管理・運営会社に残し、作業と確認の分担を一緒に整理します。
