どの仕事を外へ任せるか、物件ごとに決める
巡回で照明の不点灯を見つけること、切れた電球を交換すること、配線の故障を調べることは、それぞれ違う仕事です。清掃のついでに見てもらうつもりでも、依頼に含めていなければ報告されるとは限りません。
まず、現在足りていない仕事を確かめます。清掃に行く人が足りないのか、写真を受け取っても状態を判断する人がいないのか、故障を見つけても修理の依頼が止まっているのか。必要な範囲によって、比較する相手が変わります。
| 任せたい仕事 | 候補へ確かめること | 管理会社に残す判断 |
|---|---|---|
| 決めた場所を清掃する | 対象箇所、作業方法、回数、通常の報告 | 作業範囲や回数の変更 |
| 巡回と品質の確認も任せる | 異常の確認項目、確認者、手直しの依頼方法 | 追加費用、設備対応、入居者への方針 |
| 見つかった故障を直す | 調査・施工の資格や対応範囲、見積もり、受付可否 | 調査や修理の承認条件 |
あなぶきハウジングサービスの松井久弥氏が2017年に紹介した変更事例では、入居付けや家賃管理には大きな問題がなくても、清掃と建物対応への不満から、建物管理を担う会社だけを変更しています。入居付け・家賃管理などのPMと、清掃・点検などのBMを分けて依頼していた物件の例です。
自社でも、うまく動いている仕事まで一括で変える必要があるかを考えます。清掃の実作業だけ任せ、確認は自社で続ける選び方もあります。その場合は、報告を受け取る時間と担当を社内に残します。
一棟の作業範囲を揃えて、見積もりを取る
比較には、自社が委託したい同じ一棟の条件を渡します。図面、現在の清掃仕様、直近の報告や指摘を参照し、必要な場所と作業を確認します。回数は候補会社へ一律に合わせるのではなく、現状の汚れ方と必要な作業から検討します。
次は、範囲を決めるときの確認項目です。自社の物件にある場所を選び、通常の依頼と追加判断を分けてください。
| 場所 | 通常の依頼へ含めるか確認 | 別途確認して決める仕事 |
|---|---|---|
| 外階段・共用廊下 | 掃き掃除、指定箇所の拭き掃除、作業後の確認 | 床の洗浄方法の変更、高所の作業 |
| 排水溝 | 手の届く範囲の落ち葉除去、流れを妨げる物の報告 | 詰まりの調査、設備の分解や補修 |
| ごみ置場 | 散乱した通常ごみの清掃、容器周辺の汚れ確認 | 持ち主不明の粗大ごみ、臨時の搬出 |
| 共用照明 | 点灯状態を確認できる条件と報告方法を決める | 電球交換を含むか、器具・配線の修理 |
「ごみ置場の清掃」だけでは、粗大ごみの処分費まで含むようにも読めます。依頼しない作業も、現地で発見したら誰へ知らせるかを決めておくと、放置と無断の追加作業の両方を防げます。
集積所にごみが残っていると連絡が来たら、収集の条件と現地の対応を確かめる手順へ進めます。普段の清掃範囲を照合し、収集先へ相談する担当と、片付けを依頼する担当を分けてください。
見積もりには、作業場所に加えて、水道・電源を使えるか、道具をどちらが用意するか、敷地への入り方、写真の提出方法を揃えます。複数棟を頼む場合は移動や駐車の条件も伝えます。同じ「一回」の料金でも、この条件が違えば自社に残る仕事が変わります。
回数だけでなく、作業後に見たい状態を伝える
排水溝の落ち葉を除く作業を頼むなら、廊下全体の遠景写真だけでは確認できません。排水溝の対象範囲が分かる写真と、残っている詰まりの有無を受け取る条件にします。一方、状態が変わっていない箇所まで大量の写真を求めると、受け取る側の確認も増えます。
定期作業で確かめる箇所と、異常があったときに詳しく報告する箇所を選びます。「きれいにする」という言葉だけで済ませず、見積もり前に一緒に現地を見て、対象と終わり方を揃える方が話を進めやすくなります。
報告の見本で、異常と手直しの扱いを確かめる
ファシリティパートナーズの大和リビング向け清掃業務の事例では、清掃仕様の整備に加え、協力会社への指導、検査、苦情を受けた後の再発防止までが紹介されています。清掃を実施することと、その品質を管理することの両方が仕事になっています。
候補には、普段の報告の見本と、問題があったときの報告を見せてもらいます。写真の枚数よりも、どこの何を確認し、何が残っているかが読み取れるかを見ます。
自社の直近の報告を、依頼した仕様と突き合わせます。清掃した場所と実施時刻、確認できた状態、未実施の範囲や新しく見つかった異常を、分けて読めるか確かめます。
不点灯の報告があった場合も、状態確認までの依頼なら交換は別の仕事です。管理会社は指定業者、保証、交換を依頼できる条件を確認して次の作業を決めます。原因がまだ分からない段階で「電球切れ」と決め付けず、修繕の業者手配の工程へつなぎます。
清掃後に汚れの指摘が来た場合も、すぐ追加清掃を頼む前に、清掃の時刻、対象箇所、作業後の状態を照合します。依頼した範囲の作業不足なのか、作業後に再び汚れたのかで、手直しと臨時作業の扱いが変わるためです。原因がまだ分からなければ、誰が現状を確認するかを先に決めます。
管理会社が確認を引き取るなら、通常報告と異常報告を同じ扱いで積み上げないようにします。異常だけ別の連絡が必要か、日常の報告を誰がいつ見るかを決め、結果を完了確認の記録へ残します。
契約前に、担当が休む日と変更する日の動きを聞く
普段の作業ができるだけでなく、予定どおりに来られない日の動きも比較します。担当者の欠勤、悪天候、鍵の不具合で入れない場合に、誰から連絡が来て、代わりの作業日をどう決めるかを聞きます。
また、清掃中に入居者から「ついでに私物を運んでほしい」と頼まれた場合の返し方も揃えます。管理会社の依頼と入居者からの個別要望を区別し、契約外の仕事は管理会社へ確認してもらいます。
委託範囲を変えるときは、既存契約の終了条件、最終作業、鍵や資料の返却、新しい会社の開始条件を確認します。新旧の会社が同じ場所へ来る期間や、誰も作業しない期間を作らないよう、予定を突き合わせます。
試行できる場合は、作業範囲と確認担当を決めた自社の一棟を選びます。清掃の出来、異常の伝わり方、管理会社に戻った判断を見て、続ける範囲を決めます。試行を設けられない場合でも、作業報告の見本と異常発生時の受け渡しを契約前に確認できます。
テマトクは、問い合わせの受付から関係先への連絡、業者手配、結果報告までを担います。巡回・清掃そのものの依頼先を決めたうえで、そこで見つかった問題の連絡をどこまで任せるかは、業者連絡・手配のサービス範囲で確認できます。
受付から手配・報告まで、任せる仕事を選ぶ
問い合わせの受付・内容整理、物件別FAQ回答から、業者連絡・手配・報告まで。いまの体制に合わせて任せる仕事を選びます。
費用・方針・例外の判断を管理・運営会社に残し、作業と確認の分担を一緒に整理します。
